永代使用権の購入をするお墓ブログ:2014-6-04


お子さんの頃は土用の鰻など知らなかったが、
成長期に食べたものの中で
鰻ほどおれの印象に残るものは無い。

なかなか食べられなかったということもあるが、
それ以上におれにとって鰻といえば、
親父のお土産である。

おれが小学生の頃のこと…
親父が飲んだ帰りに、駅の近くの小さな料理屋で、
時々持ち帰りの鰻を買ってくることがあった。

晩のAM10時過ぎ、
仕事終わりに日本酒を飲んで、
酔った親父が帰ってくる。

帰って来た親父の手にはビニールの袋が下げられ、
その袋の中には包装紙に包まれた鰻重の箱が四つ、
重ねられて入っている。

小学生だったおれは、
親父の帰る頃にはもう布団の中であったから、
次の日の6時それを食べることになるわけである。

6時になると母が包装紙を開け、
ホイルの上に箱の中身をそのまま取り出し、
蒸し器で十分蒸したあと、
また同じように箱に詰める。

その上から、
小さな容器に入ったタレをかけて食べる…

お子さんながらに、
これはとても美味いものだというのはわかっていた。
ひとクチひとクチ、大事に食べていたように思う。

箱の底は銀色をしているのだが、
おれは食べながらも、
銀色が見えてくるのが
非常に勿体無いような気がしていた。

底にボンヤリと映る自分の顔を少し残念な気持ちで、
クチを動かしながら見つめていたことを覚えている。

起きてきて鰻重の箱を発見した時の嬉しさというのは、
憂鬱な6時を少しだけ幸せな気持ちにしてくれた。

その包装紙の模様もまた独特で、
よくは覚えていないが
確か白地に、緑や黒の家紋のようなものが
規則正しく描かれていたように思う。

おれはその模様をみつけると意地汚い性分で、
顔を洗うよりも先にそちらに手をかけ、
母親によく怒られていた。